日合連概要会長挨拶

ご挨拶

日本合板工業組合連合会 会長 井上 篤博
平成24年1月

― 国産合板の活用による東日本大震災からの復興を目指して! ―

 皆様におかれましては、お健やかに新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。また、平素より日本の合板産業並びに日本合板工業組合連合会(日合連)へ多大なご理解とご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 さて、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、宮城県、岩手県に所在する日本合板工業組合連合会(日合連)の6組合員企業が甚大な被害を受け、全国の生産量の約3割を占める合板供給が困難となりました。

 この東日本大震災に対し、日合連としては、被災地への緊急支援物資の提供や、救援募金等を実施しました。ご支援を賜りました皆様に衷心より御礼申し上げます。

 また、震災復旧事業である仮設住宅の建設につきましては、国や(社)プレハブ建築協会等と連携して建設に不可欠な構造用合板を確保・供給致しました。

 さらに、日合連では、被災していない国内合板メーカーがフル生産を行い、この結果、6月には日合連推計で総生産量は約20万m3と、ほぼ前年並みの生産レベルまで回復しました。

 さらに、合板の不足感から、昨年5月、6月の合板輸入量は、大幅に増加しました。これら輸入合板の中には、JAS規格合板(F☆☆☆☆)でないものが相当量含まれていると言われ、住宅等で使用されるとシックハウス症候群を発症することが危惧されています。また、偽装JAS合板が確認され、さらに、海外の合板工場のJAS認定が大震災以降急増しており、これらの動向に十分に注意していく必要があります。

 被災企業においては、震災直後より工場建物の修復、瓦礫処理、保管在庫の確認・販売等を実施し、さらに第一次及び第三次補正予算等を活用して生産ラインを修理・復旧することとしており、お陰様をもちまして本年度内にほぼ復興する見込みであります。

 我が国合板産業は、昨年、厳しい経営環境の中で業界をあげて国産合板の需要拡大に努めてきました。その結果、2011年は国産材を2010年と同じく240万m3程度活用しました。また、国産厚物合板屋根の手引き、防虫処理合板や12mm厚の国産構造用合板の壁倍率に係る大臣認定のパンフレット等を作成・配布するとともに、防腐・防蟻処理合板の講習会等を行いました。さらに、国の補助事業により国産コンクリート型枠合板の現地実証、合法木材マークのラベリングによる効果の検証、厚物合板による学校等の公共建築物のための高強度の床や壁の開発等を行っております。

 本年は、引き続き国や都道府県等のご助力を賜りながら、国産合板の需要拡大を最重要課題として取り組んで参いる所存であり、国産合板を住宅の床、壁、屋根下地などあらゆる用途へ使用することで、住宅設計の自由化と地震や台風に強い住宅建設を促進していくこととしております。また、住宅の内装・フローリング用合板だけでなくコンクリート型枠も国産合板を積極的にご利用いただき、日本の森林再生を共に実現していくことを、住宅産業並びに建設産業へアピールしていきたいと思います。

 国際的には、引き続き関税撤廃を前提とするTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への不参加、WTO・EPA/FTAにおける合板輸入関税の維持、ロシア未加工木材の輸出関税の推移に注目しながら必要な輸入材の安定的確保等を図る所存であります。また、昨年は国連が定めた国際森林年であり、日合連としても国際森林年国内委員会が公表した「2011国際森林年メッセージ及び行動提案」の作成に参画するとともに、日韓台合板業者懇談会においては3カ国代表による記念植樹を実施致しました。

 日合連は、昨年閣議決定された「森林・林業基本計画」に則り、木材自給率50%を目指して日本の森林再生と地域林業の振興を通じた地域経済の活性化、そして何よりも地球環境の保護と地震や災害から国民の安全と健康を守る住環境の充実を図るため、全力を挙げて、木質バイオマスのカスケード利用を促進しつつ環境創造産業・住宅創造産業として一層発展できるよう一意専心努力する所存です。

 皆様の一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の本年のご健康、ご多幸を祈念申し上げ年頭のご挨拶と致します。