皆様には、平素より日本の合板産業並びに日本合板工業組合連合会の運営に対して、多大なご理解とご支援を賜っておりますことに厚く御礼申し上げます。さる5月13日に通常総会を開催し、本年度の当会業務が本格的にスタートしたところです。
さて、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ戦争の終結が見通せない中で、その影響による不安定な国際情勢が継続しています。一方、国内では、物価高騰が経済活動や社会生活に大きな影響を与えており、個人消費、とりわけ新設住宅着工が低迷するなど、木材需要を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。
日合連では、これまでも森林・林業基本計画に基づき、国産材の需要拡大に向けて、国産針葉樹を原料とする構造用合板、フロア 台板、型枠用合板等の開発に取り組み、非住宅分野や中層・大規模建築分野への合板の新規需要を開拓してまいりました。
厳しい状況の中におきましても、合板用材の国産材利用量目標7百万m3の達成を目指して、「Go(合板)!700!」をスロー ガンに、国産材合板の需要拡大に更に取り組んでまいります。
現在、いわゆる厚物合板よりも更に厚い「超厚合板:CLP(Cross Layered Plywood)」の製品開発及びJAS規格の改正などに向けた取組を推進しているところです。このCLPを国産材100%で製造することにより、地域経済の発展に資することに加えて、日本の森林再生に一層貢献できるものと考えております。
国産の合板は、国産材の積極的な利用を通じて、地域の活性化はもとより、貴重な熱帯雨林の保護、HWP(伐採木材製品:Harvested Wood Product)利用による炭素貯蔵の増加など、SDG’s並びに2050カーボンニュートラルの達成に貢献しています。新たな製品開発により更なる貢献に取り組むとともに、「合法性」や「持続可能性」の確保された合板産業の体質強化、国際競争力向上に邁進してまいります。
これら諸課題への対応に当たっては、日本の人工林資源を有効かつ永続的に活用できる国産材合板の製造販売を一層拡充し、LC Aの観点から、A級材からD級材まで、樹種や形状に合わせて使い分ける木材の高付加価値化利用、すなわちマテリアル利用とエネルギー利用の両立を追求するカスケード利用が必要であります。
私どもは、今後とも、住宅をはじめとする建築物等への需要拡大に取り組みつつ、調達する資源を余すことなく有効に利用することに加えて、将来にわたる資源造成にも貢献していく環境創造産業を目指して、より一層努力してまいる所存です。