本年5月9日の通常総会及び理事会において、日本合板工業組合連合会の会長に再任され謹んで就任いたしました。これからも日本の森林と合板産業の発展のために精励して参りますので、倍旧のご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
わが国はコロナ禍の4年間を経て、徐々にコロナ前の日常を取り戻しつつあります。日経平均株価は史上最高値を記録した一方で、日本経済は、急激な円安進行や諸物価高騰の中で賃金上昇が追い付かず、個人消費とりわけ新設住宅着工が低迷しております。加えて、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ戦争などの国際情勢、ウッドショックの後遺症、不正格付けの中国産合板を放置した外国認証機関の業務停止など、業界を取り巻く情勢は不安定な状況が継続しています。
日合連では、これまでも「森林・林業基本計画」に基づき、国産材の需要拡大に向けて、国産針葉樹を原料とする構造用合板、フロア台板、型枠用合板等の開発に取組み、非住宅分野や中層・大規模建築分野への合板の新規需要を開拓してまいりました。
新たな「森林・林業基本計画」における合板用材の国産材利用量目標7百万m3の達成に向けて、「Go(合板)!700!」をスローガンとして掲げ、国産材需要拡大にさらに取り組んでまいります。
現在、従来の厚物合板よりも厚い「超厚合板:CLP(Cross Layered Plywood)」の製品開発およびJAS規格の改正などに向けた取組を推進しているところです。このCLPを国産材100%で製造することにより、地域の雇用を創出し、地域経済の発展に資することに加えて、日本の森林再生とSDGsの達成にさらに貢献できるものと考えております。
しかし、日本で使用されている合板の約半分は依然として東南アジアや中国で生産された「輸入合板」です。SDGs達成に向けて「合法性」「持続可能性」の確保は欠かせません。さらに、TPPや日欧EPAにより、合板産業の体質強化、国際競争力向上が喫緊の課題となっています。
これら諸課題に対応するためには、日本の人工林資源を有効かつ永続的に活用して、国産合板の製造販売を一層拡充していく必要があります。
このため、LCA(Life Cycle Assessment)の観点に立って、A級材からD級材まで樹種や形状に合わせ使い分ける木材の高付加価値化利用、すなわちマテリアル利用とエネルギー利用の両立を追求するカスケード利用を徹底することが重要です。
合板産業は今後ともさまざまな課題を克服し、環境創造産業・住宅創造産業として、一層発展できるよう取り組んでまいります。