― 新たな森林・林業基本計画に基づき、国産合板の更なる需要拡大を ―
新型コロナウィルス感染症のパンデミックが収束の兆しを見せない中、アメリカ、中国での木材需要急増に端を発する「ウッドショック」が、日本の森林・林業・木材産業、住宅産業に深刻な影響を及ぼしています。
このような状況下、林野庁では、森林・林業基本計画の見直し作業が進められ、6月15日に閣議決定がなされました。同計画においては、「新型コロナウィルス感染症により経済社会の運営は厳しい局面を迎えており、これに対処していくためには、短期的な効率性や合理性のみを重視するのではなく、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指していくこと、すなわち、SDGsの達成に向けた取り組みが重要である。」との基本認識がまえがきに示されました。また、森林・林業・木材産業については、社会経済生活の向上とカーボンニュートラルに寄与する「グリーン成長」を実現していく、という新たなキーワードが示されました。合板用材については、総需要量の将来見通しは11百万m3と現行計画と変わらないものの、国産材利用量の目標は現行計画を1百万m3上回る7百万m3が示されました。
日合連では、これまでも森林・林業基本計画に基づき、国産材の需要拡大に向けて、国産針葉樹を原料とする構造用合板、フロア台板、型枠用合板等の開発に取組み、非住宅分野や中層・大規模建築分野への合板使用の新規需要を開拓してまいりました。現在、200mmを超える「超厚合板」の製品開発及びJAS規格の改正に向けた取組を推進しており、「超厚合板」の略称として、「CLP(Cross Layered Plywood)」の商標登録を取得いたしました。
一方で、日本で使用されている合板の約半分は依然として東南アジアや中国で生産された「輸入合板」です。SDGs達成に向けて「合法性」「持続可能性」の確保は欠かせません。日本の森林資源の有効活用を通じた次世代の森林再生と地域経済振興のためにも、日本の植林木を主原料とした国産合板の製造販売を一層拡充していく必要があります。
さらに、TPPや日欧EPAにより、いよいよ関税撤廃が目前となりました。合板産業は体質強化、国際競争力向上が重要かつ喫緊の課題です。昨年11月に政府が策定した「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」において、合板は製材と並んで重点品目に選定され、今後、輸出促進にも一層取組んでいく必要があります。
日本の人工林資源は主伐期が到来しつつあります。LCAの観点から、A~D材の仕分けを通じた木材の高付加価値化利用、マテリアル利用とエネルギー利用の両立を追求するためのカスケード利用の徹底を図ることを通じて、先人が育てた貴重な資源を永続的に活用していくことに、合板業界としても尽力してまいる所存です。
ウィズコロナのSDGs時代において、合板産業はさまざまな課題を克服し、環境創造産業・住宅創造産業として、地域経済の振興のために一層発展できるよう取り組んでまいります。