合板(ごうはん)についてシックハウス対策

シックハウス症候群とは?
建築基準法のシックハウス対策
住宅の性能表示

建築基準法では、ホルムアルデヒド・4VOC(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン)・クロルピリホスの使用の制限が規定されています。

ホルムアルデヒド対策

対策1内装仕上げの制限

1. 建築材料の区分

内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材には、次のような制限が行われます。

※1μg(マイクログラム):100万分の1gの重さ。放散速度1μg/m2hは建材1m2につき1時間当たり1μgの化学物質が発散されることをいいます。
※2建築物の部分に使用して5年経過したものについては、制限なし。

規制対象となる建材は次の通りで、これらには、原則としてJIS、JAS又は国土交通大臣認定による等級付けが必要となります。

規制対象となる建材

木質建材(合板、木質フローリング、パーティクルボード、MDFなど)、壁紙、ホルムアルデヒドを含む断熱材、接着剤、塗料、仕上げ塗材など

※資料出所:国土交通省

2. 第2種・第3種ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積の制限

第2種ホルムアルデヒド発散建築材料及び第3種ホルムアルデヒド発散建築材料については、次の式を満たすように、居室の内装の仕上げの使用面積を制限します。

※住宅等の居室とは、住宅の居室、下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室、家具その他これに類する物品の販売業を営む店鋪の売場をいいます。上記以外の居室には、学校、オフィス、病院など他の用途の居室が全て含まれています。 ※資料出所:国土交通省

対策2換気設備設置の義務付け

原則として機械換気設備の設置が義務付けられます。
ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しない場合でも、家具からの発散があるため、原則として全ての建築物に機械換気設備の設置が義務付けられます。
例えば住宅の場合、換気回数0.5回/h以上の機械換気設備(いわゆる24時間換気システムなど)の設置が必要となります。

※資料出所:国土交通省

対策3天井裏などの制限

機械換気設備の設ける場合には、天井裏、床下、壁内、収納スペースなどから居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐため、次の(1)〜(3)のいずれかの措置が必要となります。ただし、収納スペースなどであっても、建具にアンダーカット等を設け、かつ、換気計画上居室と一体的に換気を行う部分については、居室とみなされ、【対策1】の対象となります。

(1)建材による措置 天井裏などに第1種、第2種のホルムアルデヒド発散建築材料を使用しない(F☆☆☆以上とする)
(2)気密層、通気止めによる措置 気密層又は通気止めを設けて天井裏などと居室とを区画する
(3)換気設備による措置 換気設備を居室に加えて天井裏なども換気できるものとする
※資料出所:国土交通省

合板から放散される4VOCについて

平成15年、建築基準法によるシックハウス対策規制により、ホルムアルデヒド発散建築材料の使用制限が開始されました。その後、ホルムアルデヒド以外のVOC(揮発性有機化合物)についても、安全性に関する表示制度の確立を望む声が多く寄せられてきました。2008年(平成20年)4月1日に、(財)建材試験センターが主催する「建材からのVOC 放散速度基準化研究会」において「建材からのVOC 放散速度基準」が制定され、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びスチレン(以下4VOC)放散速度基準値が示されました。これを受けて、(社)日本建材・住宅設備産業協会は、2008年(平成20年)10月1日より「化粧板等のVOC 放散に関する自主表示(トルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレン)」制度を開始しました。この制度は、「建材からのVOC放散速度基準」を満足する建材に「4VOC基準適合」(商標登録済)という表示を認めるものです。

「化粧板等のVOC 放散に関する自主表示制度」の考え方の根拠である「木質建材からのVOC証明・表示研究会」報告書(令和2年3月、(公財)日本住宅・木材技術センター)によれば、木材自体は4VOCの放散がない材料であること、また、国内産合板等に用いられる接着剤からも4VOCが放散しないことが確認されています。

このことから、塗装等の二次加工をしておらず下表の接着剤に関する要件を満たす国産合板(普通合板や構造用合板等)は、4VOCの放散速度が基準値以下の資材のひとつとして認められており、安全な建材として扱うことができます。

建材からのVOC放散速度基準
対象VOC 略記号 放散速度基準値(μg/m2h)
トルエン T 38
キシレン X 29*
エチルベンゼン E 550
スチレン S 32
出典:建材からのVOC放散速度基準化研究会、(財)建材試験センター主催、2008年4月
*キシレン基準値は、厚生労働省のキシレン室内濃度指針値改定(2019年1月17日)を踏まえ、
「建材から放散するVOC の自主表示に関する検討会」(事務局:(一社)日本建材・住宅設備産業協会)により2019年に改訂。
4VOCが基準値以下であることが確認されている資材
材料名称 要件 備考
合板 ユリア樹脂接着剤、メラミン・ユリア共縮合樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤、及びレゾルシノール樹脂接着剤、またはこれらを共縮合または混合した接着剤を用いた製品。
但し、水性高分子-イソシアネート系接着剤を用いた合板については国内産に限る。
「木質建材からのVOC証明・表示研究会」報告書(令和2年3月、(公財)日本住宅・木材技術センター)による
出典:建材から放散するVOCの自主表示に関する検討会(事務局:(一社)日本建材・住宅設備産業協会)
単板・合板からの4VOC放散量
品目 類別 樹種 接着剤 時間
(日)
4VOC 基準値
(μg/m2h)
放散速度
(μg/m2h)
判定
単板 - メランチ - 1 トルエン 38 0.25
キシレン 120 1.70
エチルベンゼン 550 0.00
スチレン 32 0.10
合板 特類 メランチ フェノール 1 トルエン 38 0.65
キシレン 120 0.22
エチルベンゼン 550 2.20
スチレン 32 0.14
単板 - スギ - 1 トルエン 38 0.22
キシレン 120 0.10
エチルベンゼン 550 0.00
スチレン 32 0.00
合板 特類 スギ フェノール 1 トルエン 38 0.23
キシレン 120 0.10
エチルベンゼン 550 0.00
スチレン 32 0.00
単板 - カラマツ - 1 トルエン 38 0.22
キシレン 120 0.00
エチルベンゼン 550 0.00
スチレン 32 0.08
合板 特類 カラマツ フェノール 1 トルエン 38 0.51
キシレン 120 0.00
エチルベンゼン 550 0.00
スチレン 32 0.07
単板 - ヒバ - 1 トルエン 38 0.27
キシレン 120 0.10
エチルベンゼン 550 0.00
スチレン 32 0.09
合板 特類 ヒバ フェノール 1 トルエン 38 1.47
キシレン 120 0.44
エチルベンゼン 550 0.00
スチレン 32 0.50
出典:井上明生、塔村真一郎、千葉保人、Fu Feng:小型チャンバ法による単板及び合板からの揮発性有機化合物
(VOC)放散量の測定、(社)日本木材加工技術協会第20回年次大会要旨集、24-25,2002.10
測定条件:温度20℃、湿度50%、試料負荷率2.2㎡/㎥、換気回数0.5回/時間、1日後
判定:○(基準値未満)、●(基準値以上)
合板からの4VOC放散量
品目 類別 樹種 接着剤 時間
(日)
4VOC 基準値
(μg/m2h)
気中濃度
μg/m3
放散速度
(μg/m2h)
判定
普通合板 2類 ラワン ユリア 1 トルエン 38 7.6 1.7
キシレン 120 1.0 0.2
エチルベンゼン 550 1.0 0.2
スチレン 32 0.8 0.2
普通合板 1類 ラワン メラミン

ユリア
1 トルエン 38 4.9 1.1
キシレン 120 1.4 0.3
エチルベンゼン 550 1.4 0.3
スチレン 32 2.0 0.5
普通合板 1類 ラワン
/タモ
メラミン 1 トルエン 38 0.8 0.2
キシレン 120 0.1 0.0
エチルベンゼン 550 0.0 0.0
スチレン 32 0.7 0.2
普通合板 1類 スギ 水性高分子

イソシアネート
1 トルエン 38 1.3 0.3
キシレン 120 0.2 0.0
エチルベンゼン 550 0.4 0.1
スチレン 32 1.6 0.4
構造用合板 特類 カラマツ
(道産)
フェノール 1 トルエン 38 1.9 0.4
キシレン 120 2.4 0.6
エチルベンゼン 550 1.2 0.3
スチレン 32 1.9 0.4
構造用合板 特類 ラワン フェノール 1 トルエン 38 3.5 0.8
キシレン 120 0.6 0.1
エチルベンゼン 550 0.9 0.2
スチレン 32 0.5 0.1
出典:シックハウスと木質建材資料集、(独)森林総合研究所編集、(財)林業科学技術振興所発行、2004年11月
測定条件:温度28℃、湿度50%、試料負荷率2.2㎡/㎥、換気回数0.5回/時間、2重測定平均、1日後
判定:○(基準値未満)、●(基準値以上)

クロルピリホスの使用禁止

クロルピリホスは有機リン系のしろあり駆除剤です。
居室を有する建築物には使用が禁止されます。