3年続いたコロナ禍は、5類への移行で新たなステージを迎えました。しかし、ロシア・ウクライナ戦争、為替の激変、諸物価高騰は依然として先が見えない状況が続いています。このような中、新設住宅着工の不振などにより、ウッドショック下のひっ迫した合板需給の状況が一変し、さらには、中国メーカーの合板等JAS認証停止、マレーシアにおけるTPP11協定の発効など、日本の合板業界にとって厳しい状況が続いています。
さて、日合連では、「森林・林業基本計画」に基づき、国産材の需要拡大に向けて、国産針葉樹を原料とする構造用合板、フロア台板、型枠用合板等の開発に取組み、非住宅分野や中層・大規模建築分野への合板の新規需要を開拓してまいりました。新たな「森林・林業基本計画」における合板用材の国産材利用量目標7百万m3の達成に向けて、「Go(合板)!700!」をキャッチコピーとして掲げ、国産材需要拡大にさらに取り組んでまいります。現在、中層・大規模建築向け部材として、従来の厚物合板よりも厚い「超厚合板:CLP(Cross Layered Plywood)」の製品開発およびJAS規格の改正などに向けた取組を推進しているところです。このCLPを国産材100%で製造することにより、地域の雇用を創出し、地域経済の発展に資することに加えて、日本の森林再生とSDGsの達成にさらに貢献できるものと考えております。
しかし、日本で使用されている合板の約半分は依然として東南アジアや中国で生産された「輸入合板」です。SDGs達成に向けて「合法性」「持続可能性」の確保は欠かせません。さらに、TPPや日欧EPAにより、合板産業の体質強化、国際競争力向上が喫緊の課題となっています。
これら諸課題に対応するためには、日本の人工林資源を有効かつ永続的に活用して、国産合板の製造販売を一層拡充していく必要があります。LCAの観点に立って合板の炭素貯蔵力を大いに発揮し、A材からD材の仕分けを通じた木材の高付加価値化利用、マテリアル利用とエネルギー利用の両立を追求するカスケード利用を徹底することが重要です。
合板産業は今後ともさまざまな課題を克服し、環境創造産業・住宅創造産業として、一層発展できるよう取り組んでまいります。